2016-10-26 組織の本音を引き出す上司の関わり方 3人いれば社会が生まれ、組織が生まれる。多様な人がいる中で、どうパフォーマンスを上げていくかは、いつの時代も大きな課題だが、ITが進化した現在それは更に複雑性を増している。会社にこなくてもいつでもどこでも仕事ができるようになり、バーチャルなコミュニケーションがリアルコミュニケーションを凌駕する時代もすぐそこに近づいている。 組織の中の感情をどう取り扱うか。悩ましい問題を取り上げた、GBRの2016年7月号の特集は「組織の本音~きれいごとでは人は動かない」はおもしろかった。 備忘録的サマリーを。 「言いにくいことを言える職場」 コーネル大学教授ジェームズ R.ディタート テキサス大学オースティン校イーサン R.バリス ・リーダーが部下に自由に話してもらうと、意識調査や全スタッフのフィードバックセッションなど様々な手段を講じるが2つの理由でうまくいかない ①結果に対する恐れ(きまりが悪い、孤立する、評価が低くなる、昇進できない。 果ては解雇されるかも) ②徒労感(話したところ何も変わらないのだからわざわざ言う必要はない) 組織の中の「恐れ」を増幅するのは、上司の問題行動だ。 ・匿名のフィードバックを奨励すると、むしろ自由に話すコトへのリスクが高まり社員の疑心暗鬼が増す。また匿名を認めると魔女狩りが始まる。問題を提起した本人の身分を伏せたままその問題に対応することは難しい。 ・門戸を開放しても結局、部下は上司の所にはやってこない。 ・意識するかしないかにかかわらず、上司は微妙なシグナルを通じて自分の権力を見せつけている(社会心理学者リチャード・ハックマンはそうしたシグナルを「環境刺激」とよんだ)。すると、社員は黙り込んでしまう。 本音を言わない最大の理由は「諦め」 言ってもしょうがないという態度を生み出すのは上司の次のような行動。 ・自由な表現の手本を示さない。リーダーが口をつぐんでいては、部下は大いにやる気を失ってしまう ・どんな意見がほしいのか明確に示さない。リーダーは自分の問題意識に沿う考え方に最も反応しやすく、そうでないものには関心を示さないが、それをなかなか認めないため、部下はあなたの望むモノを知るために多くの時間とエネルギーを使ってしまう ・問題解決のリソースを提供しない。アイデアをいくら出してもそれを一部でも良いから実現させるためのコミットメント(資金などのリソース提供)がなければ、何を言っても変わらないという無力感が社員に生まれるだけ。 社員が自由に心配事を表明できる組織は、定着率が増しパフォーマンスも高まることは多くの研究で分かっている。 声を上げやすい、文化を創るために必要なことは ・普段から頻繁に意見を求め面と向かって会話をすれば、肩肘張らずに自然体でアイデアを共有できる。フィードバックを日常的なものとする ・フィードバックプロセスの透明性を確保すると、社員の懸念が和らぎ、参加意欲がます。 ・部下の考え方を本当に知りたければ尋ねることだ。 ・部下の真実を知りたければ彼/彼女達と交わるときに権力を笠に着ないこと。歩き回るマネジメントが効果的。パワーシグナルを弱めよう ・矛盾したメッセージを送らない。手本を示す。コミュニケーションを怠らない。 上司がコミュニケーションを怠ると、話をしても無駄だという部下の諦めが30%増加する。しかしマネージャーが過去にコミュニケーションをきちんと交わした場合は、部下が遠慮なく話をする態度が19%増加した。 組織の本音、自由な意見を引き出すには上司の関わり方が重要だということ。 当たり前だけど忘れられがちなことだ。