あることがあって、久しぶりに読み返した、ロナルド・A・ハイフェッツの「最前線のリーダーシップ」~危機を乗り越える技術~。
リーダーシップには危険がいっぱい。困難な状況のなかで心の活力を保つにはどうすればよいか。改めてかみしめたいフレーズを備忘録的にメモしておきます。
なぜ、わざわざ波風立てるのか、これを成し遂げることをそれほど渇望するのか。
自己嫌悪、自己防衛、自己欺瞞、自己憐憫。理想のリーダーとはほど遠い自分の姿に傷つき心折れよろめきながらも、なお前に進むのはなぜか。
――神聖な心を保つことは、自分にとって意義あることを追求しながら、なおかつ無邪気さ、好奇心、哀れみを維持することである。――
深く心に留め置きたい言葉。
・リーダーシップを取っている人は締め出される
リスク1 脇に追いやられる
リスク2 注意をそらされる
リスク3 個人攻撃される
リスク4 誘惑される
★リーダーシップは、変革に伴う痛みに敬意を払い、危機の兆候を認識するだけではなく、その危機に対応するスキルを必要とする。
<リーダーシップを発揮しながら生き延びる5つの方法>
方法1 全体象をつかむ
・バルコニーにあがり、出来事の背景にある力学に気づく
・技術的な問題と適応が必要な問題を見極める
・人々の立ち位置を知る
・言葉の奥に潜む「歌」に耳を傾ける
・権威者の行動を読む
技術的な問題---上に立つ人、権威ある人が既存の知識を適用する
適応を必要とする問題---既存の問題を抱えた人たち自身が新たな方法を学ぶ
リーダーシップは即興芸術である。包括的なビジョンや明確な価値観、戦略的プランがあったとしても、それは何の役にも立たない。効果的なリーダーシップのためには、目の前で起こっていることにうまく対処しなければならないのだ。自分自身のリーダーシップを維持するには、何よりもまず自分と自分が起こした行動によって何が起こっているのかを、その出来事が起こっている最中に知る能力がなければならない。
方法2 政治的に考える
視点1 パートナーを見つける
視点2 反対派を遠ざけない
視点3 自分が問題の一部であったことを認める
視点4 喪失を認識する
視点5 自らモデルとなる
視点6 犠牲を受け入れる
方法3 衝突を指揮する
グループ内において難問に取り組むとき、衝突は免れない。深刻で根深い衝突が発生するのは、強い思いが込められた別々の信念が組織の中に存在するからであり、そうした異なる視点は進歩の強い原動力となる。
リーダーシップを発揮する際に重要なのは、適応の作業を促す際に、別々の相違、熱意、衝突に取組み、またそれらの破壊的側面を最小化し、建設的なエネルギーを確保することだ。リーダーの仕事は、衝突を指揮することであり、人と衝突することではない。
1.適応を促す環境を確保する
衝突の隠蔽(Yesを言いながらNoをする)という状態にないか?
ミスや衝突を許容する場の創出が重要
2.熱気を調整する
熱気は高すぎても人々は嫌気がさし、熱気を完全に押さえてしまいたくなるし、低
すぎても何も変化が起きなくなってしまう。「建設的な苦痛の範囲」をどうコント
ロールするか。熱気の上げ方、下げ方を知る必要がある。
3.ペースをつくる
急激な変化は反発を招く
我慢強く情報をコントロールする
将来像を見せる
方法4 当事者に作業を投げ返す
問題を引き受けず一歩引く勇気を持つ。
介入は短くシンプルにとどめる。観察する・問を投げかける・見解を示す・行動に移す
方法5 攻撃を受けても踏みとどまる
自らの指導力を傷つけないやり方で、非難や怒りを甘んじて受けられるようにすることは、リーダーシップを発揮する際の課題の中でも、特にやっかいなものである。非難を受け止める能力を高めるためには、経験を積む必要がある。あなたの周りが怒りや緊張で煮えたぎっている時でも、自分自身を慎重に冷静に保てるように何度も訓練しなければならない。
友人や支持者からの非難は、反対勢力からの、ののしりよりもつらいことがある。
怒りを受け入れるのは神聖な仕事であると心得る。
自分が取り組んでいることに情熱を傾ける活動的な人々は、典型的には忍耐力をあまり持っていないことは確かだ、機が熟すまで行動を遅らせることは重要。
手強い問題に人々の注意を向けさせることは、こみいった難しい仕事である。
リーダーシップを発揮することは、あなたのイキイキとした活動を表現することである。しかし人々が心を失い自己防衛に走ると次のようなことが起きる
心の本質は無邪気さ、好奇心、哀れみだが、心を失うと、皮肉、傲慢。冷淡になる。そして表面的には 現実主義者、権威ある知識人、経験豊富な人 という名前をまとう。