ORIGINALS 誰もが「人と違うことができる」時代 アダム・グラント著 三笠書房
タイトルに惹かれたポチッとしたのに、そのまま積ん読状態になっていた本を引っ張り出しました。
ペンシルバニア大学ウォートン校で史上最年少(35歳)で終身教授になったアダム・グラントの前作。「GIVE&TAKE~「与える人」こそ成功する時代」は愛読書だけど、こっちのほうはパラパラめくっても、あまり感動が少なかった。なぜか?監訳者の楠木健氏が、巻末に書いているけれど、まさに「言われてみれば当たり前」のことが書かれているから、かもしれない。
楠木さんの監訳の言葉を拾うと、この本のおもしろさが伝わるかもしれない。(P369-382)
・本書のテーマである「オリジナル」とは、ものごとがこれまでとは違った形で生まれたり進んだりする端緒「およびそれを担う人」を意味している。
・アダムは、オリジナリティという概念がもつ2つの重要な特徴に光を当てている
- 「コンフォーミティ(同調性)」の対概念としてとらえている
- コンフォーミティは、「正しいこと」についての価値観を踏襲しその延長上に成果を達成しようとする思考と行動。オリジナリティは、これまでの価値観に逆らって新しいアイデアを推進し、最終的によりよい状況や進歩を生み出すこと。
- クリエイティビティ(創造性)と区別している
- 「オリジナルな人」とは、単にアイデアを思いつくだけでは終わらず、それをみずから率先して実行し、社旗や市場や顧客が受け入れる形で実現する人を意味している
とりあえず、私が勝手に気になったキーフレーズだけ並べてみました。オリジナルでありたい私にとって役に立つフレーズを。
特に最後の「怒りのコントロール」は最近のマイブームです(^_^)
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・オリジナルな人とは、「自らのビジョンを率先して実現させていく人」
・既存のシステムを正当化すると、心が落ちつくという効果がある。「感情の鎮静剤」
・必要なのは好奇心。「デ・ジャ・ブ(既視感)」ではなく「ブ・ジャ・デ」を体験すること。ブ・ジャ・デは、既知のものを目の前にしながら、新たな視点でそれを見つめ、古い問題から新たな洞察を得ること。
・ある分野で危険な行動をとろうとするなら、別の分野では慎重に行動することによって全体的なリスクのレベルを弱めようとする。
・仕事は静的な彫刻ではなく、形状を変えられる積み木のようなもの。
・自分の限界は、自分で設定していたに過ぎない
・オリジナルなことを実現して成功している人達の中身は、私たちとさほど変わるものではない。何が違うかというと「それでも行動を起こす」ということ。「失敗することよりも、やってみないことのほうを後悔する」
・知識がない場合は、じっくりと分析したときのほうがより確実な判断ができる
・直感が頼りになるのは、予測可能な環境で判断を下す経験を積んだときだけ
・真の熱意は、外側に表れる感情からはわからない
・起業家として成功するかどうかは、その要因の本質に、外向的か内向的かは何らかかわりがない
・ある対象に繰り返し接するほど、その対象をもっと好きになる 単純接触効果
・満足のいかない状況に対処する方法
どれを選ぶかは、コントロール(状況の決定権が自分にあるという気持ち)と、コミットメント(状況に関与したいという前向きな気持ち)にかかっている
ポイントは、自分が変化をも垂らすことができると信じているかどうか、変化を起こそうと思うほどの高い関心を持っているかどうか
組織の害になる 組織の利益になる
・状況を変える 離脱 発言
現状を維持する 無視 粘り
他者や慣習に立ち向かうことをいとわないのは、えてして「とげのある人」だ。
行動をとるべきタイミング
いいアイデアは放置から育つ
先延ばしは制賛成の敵からもしれないが、「創造性の源」にはなる
飛び抜けて独創的なアイデアは、新鮮な視点で問題にアプローチした場合にもっとも発見されやすい
ゴルディロックスの理論 似たもの同士だから敵意を抱く
非常に似通っているもの同士のわずかな違いこそが互いのあいだに違和感や敵意と言った感情を生み出す原因になっている
他者の価値観を変えさせるのは難しいが、自分たちの価値観と相手の価値観がすでにもっておる価値観の共通点を探し、結びつけるほうがずっと簡単
交渉は、強硬派を話し合いから排除することが重要
世界を創造する人は、自主的に考える人であり、「好奇心が強い」「まわりに同調しない」「反抗的」という3つの特徴があるという
戦略的楽観主義 最高の結果を予測し、冷静を保ち、目標を高く設定する
防衛的悲観主義 最悪の結果を想定し、不安を感じながら起こりうるあらゆる悪い事態を予測しておく
防衛的悲観主義は、課題に対する確固たる信念があるときに貴重な鍵となる。しかし信念が揺らいでいると不安や疑問が裏目に出る恐れがある
強烈な感情を抑圧しようとするよりも、違う感情にすり替える方が簡単だ
ある行動を起こそうという十分な意志がないときは、ネガティブに考えるのは危険
ビジョンを伝えることも重要だが、最初に伝えてもあまり意味がない
「怒りのコントロール法」について心理学者ブラッド・ブッシュマンの実験。
被験者が書いた文章に対してこっぴどい評価を与える。起こった被験者に対して、1.感情を表出すか(いやな相手を思い浮かべサンドバックを思い切り殴る)2.気を紛らわせるか(サンドバックは殴るが、身体を鍛えているイメージを思い浮かべる)、3.コントロールする(サンドバックを使わず2分間静かに座っている)
結果は、感情を表したグループは一番攻撃的で怒りの時間も長かった。気を紛らわせてサンドバックをたたいたチームは「怒りのGOシステム」は作動するが他の対処法も考えられるようになる。感情コントロールチームは、ストップシステムが作動する。
「他者に対して」怒りを感じていると復讐心が生じるが、「他者のために」
怒りを感じていると、正義やよりよいシステムを作る動機になる
人を罰したいのではなく、助けたいのだ。
「オリジナルでいる」ことは、幸せに至る道としては、決して簡単なものではない。しかし、それを追い求めることの幸せは何者にも代え難いのである。