qualiadiversity’s diary

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「インプロする組織」は確かにそこにあった!

 東大の中原淳先生と東京学芸大の高尾隆先生の共著「インプロする組織」を読んでいたら、タイミングよく高尾先生のセミナーがあるという情報を入手。日程は東京出張の最終日。これはいくしかないでしょ、と参加しました。

 インプロとは即興演劇のこと。これが組織とどう関係するのか?という疑問を持つ人は多いかも。でも高尾先生の話をきくと、インプロこそが組織変容に大きなインパクトをもたらすと感じずにはいられない。

 「インプロのファシリテーターは、いわば鍼灸師。最初からしっかり設計をするのではなく、集団をみてどこに針を打てばどう変わるかを判断して、適切に針を打つ。病気を治すのではなく、組織の中にある「こり」をほぐすことが大事」はあはあ、なるほどね。
「インプロで大事なのは「場づくり」始まる前に、すでに結果は見えていることが多い。
設計で大事にしているのは、振り返りをたっぷりとること。インプロは、演劇界のカラオケみたいなもの。だからこそ意味づけが重要なのだ。アクティビティだけをやって終わるというのは単なるゆさぶりに過ぎず、やってみてどうだったかというところにこそ、学びや気づきがある。」

 このあたりは、ファシリテーションもまさに同じだ。ワークをやって楽しかった!で終わってしまってはもったいない。振り返りでしっかり深掘りすること、内省することによって多くの気づきが生まれ、それが変容につながるのだよね。

インプロの3つの原則

1.がんばらないでやる  
 がんばるとうまくいかなくなることが多い。
2.すべての人の中に創造性、コミュニケーション力があると考える
3.失敗する  
 失敗はプレゼント。「やっちゃった!」と思ったら、捨てる勇気を持つ
 アーティストは無難なことはしない。大成功か大失敗か。エッジにたって演じる。

ふり返りの3原則

1.15分以内で終わる 
 それ以上やっても、愚痴や疲労感が増えるだけ
2.思ったまま、感じたままを正直に言う 
 遠慮したり、配慮したり、考えすぎるフィードバックはあまり役に立たない
3.議論しない
 多くの議論は建設的ではなく、自分を守るためのモノ
 次にどうするかという改善は、次に考える。その場で行う振り返りは「Give Your
  partner a good time」の精神で。

 これらの基本的な考え方を聞いたあと、実際にアクティビティを体験。プレゼントを受け取ったり、二人で旅行に行ったり、イルカの調教師になったり。
最初はぎこちなかった参加者もだんだん乗ってきて、空気が暖かくなり、場もにぎやかになっていく。体を使ったり、メンバーと協働することで関係性がぐっと深まるようだ。

 ワークの後は、実際にインプロを研修に取り入れて組織変革を行っている瀬戸内海放送の加藤社長の事例発表。社長自らがこのような研修に興味を持ち導入しようとする、そのことだけでもすばらしいなと思うが、非常に感動したのは次の言葉だ。

 「社内である上司の行動が問題になった。確かに彼に問題はあったが、それは自分(社長)の悪いところが彼に投影されているだけのこと。最も変えなければならないのは、私自身だった」

そして、導入されたインプロ研修は、様々な変化を組織にもたらした。
本気の社長が、本気で取り組んだインプロの成果は、今社内のあちこちで芽吹いているようだ。

インプロが苦手な私だけれど、自分を変えるためにも一度じっくり取り組んでみようか。
加藤社長も言っていたっけ。

「一人で変わるのは怖いが、みんなで変われば怖くない」って。