qualiadiversity’s diary

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女性リーダー輩出のキーワードは、スポンサーシップとビジネスケース

リクルートワークス127号の第二特集は
米国レポート「女性リーダーが育つ企業で、今議論されていること」

4月の欧州企業に続く第2弾です。

焦点は「スポンサーシップ」というタイトルに、やっぱりそうでしょ!とにんまりする私。つい先日も日経ビジネスオンラインでコラムが掲載されたばかり(ちなみに取材受けました(^_^))。

スポンサーシップとは、能力や人間性に対する信頼を元に、そのキャリア構築を支援するために、スポンシー(スポンサーされる人)自身と周囲に働きかける思考と行動と定義できる。(P27)
日本では、まだメンター制度さえ十分広まっていないが、女性リーダーを育てるためにはメンタリングだけでは限界がある。なぜなら、メンターは個人の成長に力点をおき、社会心理的機能、キャリア支援機能を担うものであり「Talk to you」あなたと話そうというもの。一方、スポンサーは、キャリア構築のためのパートナーであり、機会を与え門戸を開く「Talk about you」あなたについて話そう、というものであり、日常的な会話の中で、スポンシーの能力や実績を証言し、そのポテンシャルを保証して、周囲を説得する役割が求められる。(p28から引用)

スポンサーシップは自然発生的でなければならない。強要されるものではないのだ。だからこそ、スポンサーの目にとまるような取り組みが必要となる。ワークスで女性育成の重要課題としてあげられているのは、以下のような取り組み。
・経営層・上司の無意識のバイアスを取りのぞく
・成果が出れば評価されるホットジョブを女性にアサインする
・スポンシーの目につくように女性のビジビリティをあげる
・女性に影響力あるスポンサーがつく

今回、最も腑に落ちたのは、女性リーダー育成には必ず「ビジネスケース」をつけル必要があるということ。このビジネスケース、10年以上前からその重要性を感じていたのだが、どのように説明すればわかってもらえるか悩み続けていた。日本ではまだなじみのない言葉で、ケーススタディと間違えやすいこともあり使用を避けていた。それを非常にわかりやすく解説してくれている。

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ビジネスケースとは、事業を含めた企業の中の活動がもたらす結果(やその想定)を伝えるために、計画の立案や意志決定の場で用いられる”収支計画書“である。(P38)
つまり、女性リーダー育成がビジネスに効果をもたらすものだという実績を表すことを意味する。「女性が購買の意志決定者になることが多いから、女性の意見を意志決定に取り入れることが重要」という話は、典型的なビジネスケースといえる。しかしこれだけでは、BtoB企業の説得力としては弱い。ビジネスケースを成立させるにはファクト(数字)が重要だ、とワークスでは述べている。

この、定性的・定量的なデータが少ないことが日本の大きな課題だろう。ファクトを明らかにするにはアンケートやデータの収集・分析など多様性のもたらすメリット明確にしなければならない。
しかし、最近では大和証券朝日生命カルビーのように女性リーダー育成をデータや実績をもって語れる企業も出てきている。カルビーでは、育児中の短時間勤務の女性を執行役員に抜擢しその部門の業績を上げ続けている。大和証券は様々な収益データを緻密に分析し、多様性がある(女性を活躍させている)企業の収益性が高いことを証明している。

また、ワークスに登場する米国企業は、ロッキード・マーティンバクスター、シスコ、IBM、アーンストヤングなど決して女性をターゲットとした企業ではない。従業員や消費者に女性が多いから取り組むというレベルの話ではない。

「うちの会社は特殊だから」「うちでは無理」「女性がやりたがらない」「能力ある女性がいない」という企業の本心は、単にやりたくないだけなのだ。


どんな産業に属する企業でも、女性リーダー育成をビジネスケース化できる。
「購買意志決定者が男性だから」という良いわけは、もはや通用しない。それが世界の潮流である。(P39)

本格的な女性リーダー輩出の兆しはもうそこまできている。

それでも取り組まない企業にはこう聞きたい。

「あなたの会社に未来はあるのか?」