2013-08-27 企業変革の核心 否定論者の攻略法 ダイバーシティマネジメント 企業変革8つのステップで有名なジョン・P・コッターの「企業変革の核心」~このままでいいをどう打ち破るか~を久しぶりに読み返した。 ダイバーシティ推進はまさに組織変革と同義語であり、コッターの8つのステップはとても役に立つ。重要なポイントは「危機感」健全な危機感をどう持てるかだ。 変革は常に健全な危機感を抱くことから始まる。 危機感についてなるほどと思う文章。 ・危機感というのは、目の前に危険があるから生まれるのではない。現状に安住することの危険性を認識し「このままではいけない」と強く感じることから危機感は生まれる・ ・危機感は放っておいて生まれるものではなく生み出すものであり、火を燃やし続けるにはいつも気をつけて必要に応じて薪をたさなければならない。 本物の危機意識を高める基本戦略と戦術はわかりやすい。 <基本戦略> ・頭(理性)と心(感情)の両方に訴えかけ、目を覚まさせ、行動を促す <4つの戦術> ・外を内に呼び込む(内の認識と外の現実との乖離、現状を明らかにする。外の変化を伝え実感させ、体験させる) ・危機感を行動で示す(重要度・優先度の低いことは切り捨て、危機感を自らの行動で表す) ・危機を好機と見なす(危機を逆手にとり、自己満足を打ち砕く絶好の機会にする) ・変革否定論者に対応する(現状維持人間は退場させる。無力化する) 中でも、変革否定論者への対応は参考になる。 ここで変革否定論者と懐疑論者を区別しているが、なるほどという内容。両者をよく混同し一律に扱ってしまうことがあるが全く似て非なるモノだな。 <過去の事例> 懐疑論者:過去にうまくいったから今度もうまくいくとは考えない 否定論者:過去の失敗例を上げて阻止しようとする <情報収集> 懐疑論者:信頼できる情報が十分にないときに態度を保留する 否定論者:本心では裏付け情報など望んでいないが、公の場では行動を起こすにはもっと 情報が必要だと執拗に主張する <情報分析> 懐疑論者:おおむね論理的に分析するが、リスクを警戒するあまり大量のデータを集めな いと安心できない 否定論者:自分に都合のいいデータだけを選んで現状維持の論拠とする <積極性> 懐疑論者:自ら動くことはあまりなく「納得できる論拠を示してくれるなら賛成しても言い」と考えている 否定論者:自ら攻撃を仕掛け、表でも裏でもさかんに破壊工作を行う <影響力> 懐疑論者:周囲をうんざりさせる。変革の足を引っ張ることもあるが、むやみな熱狂を阻止する役割を果たすこともある。 否定論者:現状肯定を助長させる。不安を煽る。変革に向けた行動を邪魔し、危機感に水を差す。きわめて危険な存在になり得る。 コッターは、頑固な否定論者を仲間に入れようとするのは時間の無駄だという。「仲間はずれ」という方法も膨大なエネルギーを使う割に下策になりやすい。否定論者は思いのほか手強い。現状肯定論を後押しし、危機意識に水を差し、未来に向けた行動を妨害することにかけては超一流である。 しかしいかに頑強な否定論者といえども難攻不落の砦ではない。 その有効な攻略法としては次の3つを提唱している。 ・邪魔者を邪魔立てする こちらから邪魔をして何もできないようにする。邪魔立てするときは徹底的に。中途半端は逆効果。 ・組織の外に追い払う 否定論者はまず自分の意見を変えない。あの手この手を使ってでも最後は辞めさせるべきだが、それをできる経営者はあまりにも少ない。 ・彼/彼女らの行動を白日の下にさらし、周囲の圧力で辞めさせる 小粒の変革否定論者によくきくやり方。穏当なやり方でその行動を大勢に知らしめ、周囲の圧力にゆだねる 読んでいくうちに、ダイバーシティ推進(特に女性活躍推進)へのバッシングを強めている人達の顔がちらついてきた。 彼らは懐疑論者か否定論者か?どうもこのリストに当てはまると否定論者のようにしか見えないが・・・・。さて、ではどう攻略するか。こりゃかなり周到な戦術が必要だな。 これまで何度も「女性の時代到来」と言われたけれど、成果も出せないうちに否定論者に変革の翼を折られてきた。そろそろ本気にならないと本当に世界から取り残されてしまいそうだ。 しっかりとした戦略や戦術を持たずに戦ってはいけないのだ。 コッターの伝えてくれたメッセージをしっかり胸に刻んでおこう。 <未来は今日から始まる> ・できることからすぐに/明日ではなく、今日/誰かではなく私たちが/ 企業変革の核心 ジョン・P・コッター著 日経BP社より