qualiadiversity’s diary

ダイバーシティ&インクルージョンな日々を楽しむヒントや情報を発信しています。

qualia diversity's diary

MENU

ダイアローグ 意味が流れる場

 久しぶに参加したFAJ関西定例会。テーマは「ダイアローグ」。今、いろんな組織で最も必要だと言われている話し合いの手法。

話し合いには3つの方法がある。
「会話(Conversation)」は交流を目的とした、いわゆる雑談、「議論(discussion)」は、合意を産み出すための話し合い。よい・悪い・正しい・正しくない。相手を説得しようと論理的・合理的モードになる。そして「対話(Dialogue)」、お互いの意見や考えを受容しながらに探求していく姿勢で話し合うこと。そこでは「問い」が重要な役割を果たす。

今回が初ファシリテーターとなるKさん。とても緊張しているようで説明が少々長い。(でも、その気持ちよくわかる。自分に不安があったり自信がなかったり緊張が高いと、沈黙するか冗長になるか、なんだよね。がんばれ~♪と心の中で応援しながら聞いていました(笑)。)
 
まずは対話のプロセスについての説明。

(1)発言をよく聴き、判断を保留する
(2)言葉にこだわり、自分の経験を語る
(3)思い込みを打ち砕き、多様な視点で考える
(4)対立を恐れず、新たな考え方を探し出す
(5)無理にまとめず、池の発見を楽しむ

シンプルだが、実はどれもとても難しい。特に1番目。多くの人は自分の価値観や経験や常識に基づいて瞬時に相手の言っていることを評価・診断するクセがある。「ああそれは知っている。聞いたことがある。ン、ちょっと違うな、等々。」またそれが自分への信頼や自信にもなっているから余計にやっかい。自分の判断を保留する、手放す、一旦横に置くということはよほど意識的になる、訓練する必要がある。

また、4番目の「対立を恐れず」という部分。これは異なる意見や考えをどれだけしっかり出せるか、ということだが、ランク(学歴・年齢・役職・性別等)の力があったり、反対意見=非難・否定 と受け取ってしまうと、感情的になったりうまく対立をマネジメント出来なくなってしまう。そもそもめんどうなので対立を避けようとする事もおこりがち。

そこで対話を深めるために次のような力が必要になる。

(1)視点 (2)分析 (3)洞察 (4)発問 (5)表出

 自分と異なる視点を受け入れる、できるだけ多様な視点から物事をとらえる。偏りがないか、狭くなりすぎていないか、思考をできるだけ柔軟に多面的にするってことだ大事。また分析や洞察は、ただ単に「聞く」のではなく、「検証的に聴く」、コンテクスト(相手の価値観や感情、背景等)を読み解きながら聴く、本質は何かを探求しながら聴くってことでしょうか。そしても最も大事なのが「発問」。これ、「質問」とは似ているようで違う。発問は、見方や考え方を問うたり、相手に考えや気づきを促す問いかけのこと。一方、質問は、答えを求める問いかけ、自分が聞きたいことを知るための問い。質問になってしまうと、自分中心の問い、正解を求める働きかけになってしまい、対話でなく議論になってしまう。この違いはもう少し丁寧に説明しても良かったかな。

ダイアローグの基本を知った上で、テーマを変えながらひたすらダイアローグ開始。 私はいつも発言量が多いので意識していたのだけれど、話し始めるとやっぱりそのモードに入ってしまう。特にFAJの中では自分でその役割を引き受けてしまっているような(苦笑)。
でも、そんな私を温かく?受け入れてくれたメンバーに感謝。それぞれがユニークな視点を持っていたので、とても楽しく進んでいった。特に最後のテーマでは、お互いの発言に触発されながら、まさに「意味が流れていくような」感覚をあじわうことができた・・かな?

最後の振り返りで、口数の少なかったTさんに「『話せなかった』」というストレスはなかったか」と聞いてみた。「話すことよりも、考えている時間、自分の中で気づきがおこる瞬間があったので満足。話すことにあまり価値をおいていない」という答えが返ってきた。「ああ、そうなんだ。全員がまんべんなく同じように話すことがよいダイアローグではないんだな」今日一番の気づきだった。

最後に「対話を深めるうえで大事なこと。黄金律」をみんなでシェア。

・沈黙が大事。話す→聴く→沈黙があってはじめて対話が成り立つのでは?
・まずは疑問に思う。相手の話を検証的にきく
・判断を保留するとは、それを言わずに心にとどめるのではなく声に出してみること。その際は「なぜ」ではなく「どうして」という問いにするとよい。詰問、否定的な表現にならないよう配慮する
・問いかけをする前に、枕詞のように「自分はこう思うのだけれど」と加えると、相手が受け取りやすくなる。

ワークを重ねながら、ダイアローグを成立させる前提条件はなにかを考え続けていた。
理解・尊重・受容・共感・信頼・平等(ランクの排除)・保留・意志(自らの意見)
こういったものがあるとよりダイアローグの質が高まるのでは、と思う一方、ダイアローグをすることによってこれらが醸成されるのかも。
実際に組織の中でダイアローグを実践する際に、お互いの信頼関係や共感がない場合は多い。それでもダイアローグという手法を意識しながら話し合いをすると、それまでとはあきらかに違う場・関係が生まれることがある。これがダイアローグの持つ力なのだろうな。
ダイアローグは奥が深い。探求の旅は続く。