qualiadiversity’s diary

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海外のワーク・ライフ・バランスの取り組み

ここ数年、日本ではワークライフバランスへの関心が高まり法律や制度の整備も急速に進んできたように思う。ワークライフバランスの流れは世界的にも高まっており先進諸国でも様々な取り組みが進んでいる。ここにあげている情報は最新のものではないが、諸外国がどのような意図でどのような施策を展開しているか、その概観はおわかりいただけるのではないだろうか。

<イギリス>
企業主導から政府主導で柔軟な就労形態支援へ
・1990年代半ばから、労働力不足を背景に大企業中心にWLBへの関心が高まる
・1997年の労働党政権誕生により国の施策としてWLが重視されるようになる
・2003年に「2002年雇用法」を制定
 出産休暇の拡充、父親休暇の導入、フレキシブルワークの権利付与などを定める
・同年、5年間の時限施策として「ワーク・ライフ・バランス・キャンペーン」が開始。ワーク・ライフ・バランスキャンペーンの主な内容は次のとおり
・WLB施策導入の経営上のメリット提示
・先進企業で構成される「ワーク・ライフ・バランスのための事業連盟」と連携し調査を実施し、企業のメリットを提示
・チャレンジ基金プログラムの創設
・WLB導入のためのコンサルティング費用を全額負担
・2006年、「仕事と家族法」制定
 労働者の仕事と育児の両立を支援するとともに、それに伴う事業への影響を最小化することを目指して、各種施策を導入

<アメリカ>
企業主導で経営戦略として発展
・1980年代、女性の社会進出に伴い「ワーク・ファミリー・バランス」と呼ばれる育児支援策が大企業を中心に浸透
・1990年代になると、不況期を乗り切り企業の競争力を高めるために、人材戦略として「ワーク・ライフ・バランス」施策が導入されはじめる
・1996年フォード財団が「仕事の再設計」プログラムを発表。WLBは個人ではなくチーム・組織として取り組むべき課題として、既成概念の見直し、仕事の進め方の見直しという2段階のプログラムを提唱している。
・2003年、上院議会でWLBに関する決議を採択。毎年10月を「全国仕事・家庭月間」と定めた。以後、毎年政府によって全国的なWLBキャンペーンが進められている

<ドイツ>
政府主導で家族に優しい環境作りを推進
・1980年代から高い失業率を背景に雇用創出策として、政府主導による労働時間の見直しやジョブ・シェアリング等多様な働き方を推進してきた
・2000年より国力強化のために「家族に優しい環境作り」に取組みはじめる
・2003年、「連邦家庭・高齢者・女性・青年祖省」は財界・労働組合等との連携により「家族のための同盟」を結成。家庭と仕事の両立に重点を置いた下記のような取組を進めている。
・先進事例の分析と紹介 ・社会的影響の試算 ・企業コンクールの実施 ・地域レベルのネットワークの形成

<フランス>
政府主導で女性の両立支援策として推進
・1900年代後半の出生率低下を受けて、出生数増加を目的に「家族に対する手厚い経済的支援」と「働く母親への保育サービス提供」などが行われてきた。この姿勢は現在も変わらず、フランスのWLB施策は子どもがいる母親の仕事と育児の両立支援が中心となっている。
・1982年に政府・自治体・関係団体、労使代表からなる「全国家族会議」が設立され、1996年以降毎年開催。家族政策の決定・遂行に大きな役割を果たしている。1990年代以降は、特に乳幼児期の子育て支援に力をいれ、1990年に「認定保育ママ」の雇用援助制度を導入。2002年より2週間の有給の「父親休暇」が導入されている。
・2005年の全国家族会議では、出生率向上と女性の経済的自立の推進を目的とした育児休業改革政策が発表された。

<北欧諸国>
政府主導で、男女平等・児童福祉の充実を目的に推進
社会福祉国家である北欧4カ国(スウェーデンデンマークフィンランドノルウェー)では、男女平等の理念を背景に子育てと仕事の両立を支援する家族政策が充実している。北欧のWLBの特徴は、男性の育児参加促進と長期休暇取得制度の充実にある。
・1974年、スウェーデンでは、育児休業中や子の看病で休む際の所得を保障する「親保険」を導入。
・1993年ノルウェーで育児休業の一定期間を男性に割り当てる「パパ・クォータ制」を導入、1995年にスウェーデンに広まった。
・2005年、スウェーデンでは、育児や学習を目的として最長1年間の休暇が取得できる「サバティカル休暇制度」がスタートしている

シンガポール
政府主導で少子化対策の一環として推進
少子化の進むなか1990年代後半から政府がWLB施策を推進。
・1998年にWLBの先進的取組企業を表彰する「ファミリーフレンドリー企業賞」を創設(06年に「ワーク・ライフ・エクセレンス賞」に名称変更)
・2004年には、WLB推進・運用費用を補助する目的で「WoW!基金」が設立され、柔軟性のある就業形態や休業プログラムの導入などに活用されている。
また、出産費用の助成金を4人目以降に拡大したり、第4子まで所得控除を認めるなど子育て支援に力を入れている。