qualiadiversity’s diary

ダイバーシティ&インクルージョンな日々を楽しむヒントや情報を発信しています。

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多様性 統合にむけた終わりなき旅

 私が、ダイバーシティインクルージョン(Diversity&Inclusion=多様性の受容)という言葉と初めて出会ったのは1996年、所属していた女性を支援するNPOの一員としてアメリカを訪問したときのこと。多くの企業が「多様な人材を組織の成長に活かす」という視点でダイバーシティ推進に取り組んでいました。性別、国籍、人種、年齢、学歴、障がいの有無といった個人のもつ多様な属性を受け入れ、その違いに価値をおき活かすことで企業の競争力につなげるという考え方は、当時女性活躍のみにフォーカスしていた私にとって非常に新鮮なものでした。特に性別や年齢、人種など目に見える違い(表層的なダイバーシティ)以上に、価値観や習慣、パーソナリティ、文化の違いといった目に見えないダイバーシティ(深層的なダイバーシティ)を理解し受容しなければ、「個」の力を「組織」の力に変えることはできないという指摘は、目からウロコ。それ以来、ダイバーシティマネジメントを普及・定着させるべく邁進する日々が続いています。

 社会が変化し多様化する中で、組織も多様性を受け入れ活かしていかなければ生き残れないということに反対する人はいないでしょう。けれど、慣れ親しんだ組織風土や無意識に持っている価値観はそう簡単に変わるものではありません。ダイバーシティに対する組織行動は大きく4つのプロセスに分類されます。
最初は「抵抗」です。多様性は非効率、面倒くさいものととらえ反発し、受け入れを拒否します。次は「同化」。法律や規則に照らしてすべての人を平等に扱おうとしますが、個々の事情や属性には配慮せず同化させようとするため、結局その力を生かし切れずに終わってしまいます。そして「分離」。ようやく多様性を認めその力を活かそうという視点が芽生えてきます。「違い」を称賛し、最も効果を発揮するところはどこかを探しだし、そこにあてはめようとします。一見うまく機能するように思えるのですが、ある「特定の分野」に「特定の属性」を閉じ込めることにもなり、結局本当の意味で「多様性を活かす」ことにはならないのです。最後に「統合」。ここにたどりついた組織は、違いを歓迎し、「多様性」を学習や変革・再生の資源として位置づけ、異質なメンバーの相互触発を奨励します。「統合」の段階になって、初めてダイバーシティが力を発揮するのです。

現在、多くの企業が取り組んでいるダイバーシティ推進ですが、「統合」の意味するところをどれくらいの企業が理解しているのでしょうか。
分離から「統合」への道筋は決して平坦ではありません。それでも進むしかないのです。

ダイバーシティ(多様性)の受容

それはグローバル社会の中で生き残っていくための必須条件なのですから。