qualiadiversity’s diary

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100倍にして返します。

久しぶりにJカレッジの定例会に参加しました。今回のテーマはプレイバックシアター
講師は、プレイバッカーズ http://www.playback-az.com/pz/index.html 代表 宗像佳代さん。

プレイバックシアターとは、実話を舞台劇として再現する、つまりプレイバックする、ということです。観客(参加者)の誰かがテラー(自分の体験を語る人)となり、
コンダクター(司会進行、話を聞き出す人)の横に座って、 自分自身に起こったこと、過去の記憶、夢、などをその場にいる人全員に紹介します。 テラーが話し終えると、アクター(劇を演じる役者達)が、そのストーリー(話の内容)を瞬時に一篇の感動的な舞台劇にするのです。 (プレイバッカーズHPより)

昨年のFAJ合宿で体験済みでしたが、前回は素人集団がその場で学んで実演したというもの・
それにくらべ、今回のプレイバッカーズはさすが、プロとして活動しているだけあって、観客から出されたお題(ショートストーリー)の本質を瞬時につかみ、見事に表現していました。
すごいのは、3人がおもいおもいに動きながらも呼吸がぴったりあっていてその場で一つの劇としてなりたっていることです。
舞台にあるのは音楽と4つのイス、色とりどりの布というシンプルな小道具だけ。なのに、演者の表現一つで一瞬にしてその場が家庭になったり職場になったり。

今回のテーマはキャリアやワーク・ライフ・バランスについて。
職場で異動させられたときのこと。思い切って転職したときのこと、かわいがってくれた叔父の死をきっかけに天職に就こうと思ったときのこと。
いろいろな人の人生が瞬間で鮮やかによみがえってきます。
中でも私が印象的だったのは、30代半ばの男性の悩み。共働きのパートナーとともに1歳半の娘を育てていて、彼にとってワーク・ライフ・バランスは切実な悩み。ある時、週に1度担当していた保育所のお迎えに急な仕事でどうしてもいけなくなってしまった時のこと。
彼女もどうして抜けられない大事な仕事をかかえ、電話で押し問答をする2人。結局彼女がおれて、娘を迎えにいくことになったそうです。

それ以来、彼はなにかもやもやしたものが残っていて。
仕方なかったという思いと、彼女に申訳ないという思い。

コンダクター(インタビューをする人)の宗像さんが上手に話を引き出します。

「彼女はどういう思いでお迎えを引き受けたのでしょうね。」
「一歳半の娘さんがもし言葉が話せたら、なんと言ったでしょうか」

それにはっとする彼。

エンディングをどうするかと聞かれた彼は
「100倍にして返します」と低いけれど力強い声でつぶやきました。

そして、その場面を3人の俳優が演じ始めます。

それぞれがその場面に、自分の人生や経験を重ね合わせながらなんだか暖かい空気が流れる瞬間でした。

こういう男性が増えているんだなあ、となんだかとてもうれしくなった夜でした。